向かい飛車党で将棋初段。将棋ウォーズ奮戦記

       (筆者が先手▲、お相手が後手△。局面は先手番 最終指し手は△8一飛まで)

今日の将棋ウォーズの対局。私が向かい飛車に対して右玉模様のお相手の対応。通常は飛車交換になりやすいので横からの攻めに耐えられるように玉を3筋に囲っておくのがセオリー。それにも関わらず、バランスよく金銀を配置して、こちらの逆襲をいなそうとしているのがこの局面です。

この形は飛車の機敏な動きを活用してうまくこちらの攻撃をいなし、機敏を見てジャブを繰り出していく少し厄介なところもあります。それにはそのジャブを繰り出せなくなる駒の火力と集中砲火が突破力になるのですが、果たしてお相手はそれをうまくかわせるかどうか・・・。

少し自己紹介

こんにちは、将棋ウォーズで日々対局が楽しみのわたかずです。このサイトでは私の思っていること、趣味など普段のわたかずを知ってもらうために特に気負いもなく(笑)書いています。将棋もその一つで、棋力は初段ですがあなたの対局の参考になればいいかなと思ってます。将棋も自分の思っていること、時事や政治など書いていくつもりなのでよろしくお願いします。

振り飛車は基本的にカウンター戦法

つい最近、1級から昇段した私。少し初段のフィールドは厳しくなり5連勝、6連勝ということはできなくなっていました。それが棋力を鍛えてくれるのならそれで大歓迎(笑)昇段してからは3局で1勝2敗が続いて達成率もちょっとずつ下がってきました。

それでも、いつも指しなれている向かい飛車戦法を変えるつもりはないですよ(笑)これが私の柱の戦法なのでこれでずっと指してきてここまで来たので(笑)。

三間飛車、四間飛車、中飛車などの振り飛車戦法は一部を除き、基本的にカウンター狙い。剣道の構えで言うと居飛車や奇襲戦法とかは積極的に相手を打ち負かしに行く上段の構えなのに対し、大方の振り飛車戦法は相手の動きをけん制して、その相手が攻めに動いたときに二の刃で返す下段の構え。

だからこの向かい飛車戦法は、こちらから積極的に打ち負かしにいくことは基本的になく、相手の手を利用して切り返しにいくので、機を見ながらじっと相手が攻めてくるのを待つ。積極的に攻めていくことはありません。

双方相手出待ちの展開へ

            (本譜1 指し手は11手目 ▲8八飛まで)

お相手が△6三銀と次手△7四銀に進出して6筋の攻めを含みに持たせる局面。だがお相手は▲8八飛△7四歩と桂馬を飛ぶスペースを確保しゆっくり目の状態。これが△7四銀と急戦模様に来たら▲7八金と一回駒を連結させて急戦に備え、8筋の逆襲を狙う構えでした。

(参考図1)

ただこれは、お相手が△3四歩と角道を開けていないのが幸いしていて、逆に角道を開け速攻で来られたら乱戦模様になっていたと思います。参考図のように速攻で来なかったのが幸いしていたと思います。

本譜に戻り、お相手は△7四歩と速攻ではなく少しゆっくりとした展開。こちらも玉を囲うゆとりができたので▲4八玉と以下中盤ごろまでお互い攻めより囲いを優先した手を繰り広げる展開に。

            (本譜2 指し手は19手目▲3八銀まで)

以下△5四歩、▲7八金、△8一飛。攻めより自陣の囲いを優先した手が双方とも続いて、慎重な駒の運びです。

向かい飛車にしたなら一度はやっておきたい手

            (本譜3 指し手は24手目△1四歩まで)

本譜2図より5手進んで本譜3図。自陣の飛金がくっついている状態で次にやってみたい手があります。というかこれをしないと何のために向かい飛車にしたのかわからない。

              (本譜4図 25手目▲8六歩まで)

それが、本譜4図▲8六歩。ここでの歩突きは向かい飛車の常套手段。飛車交換を目指す自然な手で、振り飛車側の有利に働く場合が多いです。向かい飛車側にはその積極的に飛車交換を目指す狙いともう一つの狙いがあります。

相手の飛車先の歩の逆用が狙い

その狙いの作戦とは、居飛車側が突いてきた飛車先の歩を逆用し、角銀桂の協力で8筋を制圧。逆に相手の飛車を目標に攻めていく。これが向かい飛車の醍醐味で、これが決まると面白い。だから向かい飛車戦法はやめられない。

   (参考図は△6九飛)

参考図で仮に相手が△同飛として▲同角△6九飛と打ち込んできた場合、▲8八飛で相手飛車の動きを完封。次に▲5九金と寄れば飛車を逮捕することができます。なのでこちらの陣に飛車を打つ隙間がありません。

なので、この場合△8一飛と自陣飛車に打ち込む手が考えられますが、これはこれで▲8七歩と打てばお互いのスキが無くなるので形勢互角の局面(下記変化図)。

   (変化図 ▲8七歩まで)

こちらに飛車を打つ隙間がないので、相手としてはせっかくチャンスと思って交換した飛車が攻めに使えないので少し不満な展開になります。

最低でも歩交換で満足

なので、本譜4図に戻って、△8六同歩▲同飛に飛車交換は少し不満な展開なので△8五歩。飛車を追い返す▲8八飛で一旦局面は収まりましたが、向かい飛車にとって飛車先の歩交換ができたことに少し満足な展開です。

             (指了図1は29手目▲8八飛まで)

▲7八金型向かい飛車戦法なら積極的に角交換に挑むべし

指了図1から仮に△3四歩と相手が角道を開けていたら、ここで▲6五歩と積極的に角交換に挑むところ。△6五桂と桂馬を跳ねてくる可能性はあるが、△2二角成▲同銀△6六角と銀取りと▲8四歩の打ち込みで(下記参考図)相手の飛車先を制圧する狙いがあります。

    (参考図 ▲6六角まで)

本譜は角道を開けずに△4二銀と中央に金気を集中させ(本譜5図)、風車戦法の様子を見せそうな局面。

              (本譜5図 30手目△4二銀まで)

自分の指し方によって自分に向き不向きの戦法あり

下図が風車戦法の一例で、こちらの攻めをのらりくらりとかわしてカウンターをくらわす上級者向けの戦法です。主に地下鉄飛車(玉の下側に飛車の道筋を通しているのでそう呼びます。)で相手の駒の動きを翻弄して相手の攻めを切らせるのがこの戦法の狙いですが、如何せん風車のほうから積極的に攻めることはないので消極的な戦法といわれがちです。

(参考図 後手側風車戦法の一例)

私はこの戦法で何回か戦ったことはありますが、相手側の攻めをうまくかわすことができずそのままボロボロになることが多かったので多用はしていません。この風車戦法を指しこなすにはある程度の棋力が必要だと感じています。

どの戦法が指しやすいかは局数を重ねるごとにだんだん身についてくるので、まずは自分がこの戦法がやりやすいと思った戦法をやり続けていくことが、自分の棋力アップにつながっていってると経験上感じています。

     (奇襲戦法の一例 鬼殺し)

将棋は棋道と言う1つの宇宙

少し話はそれますが、だからと言って奇襲戦法ばかり多用するのは、将棋の棋理をそもそも無視して奇をてらって勝つのが”奇襲”という言葉の意味であり、二段以上の有段者に正確な受け方をされると途端に勝てなくなります。

ただの勝ち負けにこだわっていればそれでいいかもしれないですが、将棋はその勝ち負けにこだわるよりも奥の深いゲームです。そこに棋理と道理があり、何千何百手に繰り広げる手数だけの宇宙が広がっている。

それに戦国時代から続いてきた将棋の歴史とそれに魅了された先人たちの知恵と叡智が詰まっているのです。それを体感する将棋の世界は、単に自分が勝った負けたとの更に一段深く広がる一つの宇宙がある。そしてこの記事を読んでいるあなたに少しでも体感できればと思います。

角の働きが主役

              (本譜6図 31手目▲6八角まで)

話を戻して、本譜△4二銀に対し、相手が角道を開ける気配がないので▲6八角と相手の飛車側を角のラインでにらみを利かせる次の作戦に移りました。次の手は▲5六歩。もう一つ角を引かせることで△3四歩と相手の角道を開けることを誘発し、再度▲7七角と再度設置することで角交換に持っていく狙いもあります。

お相手は△5三銀と駒を中央に集中させてきました。攻めるならどうぞ攻めてください。いつでも反撃しますよという攻撃待ちの構え。もう一つは△5二と進んだ銀を活用して角の協力で6筋制圧を狙う指し方も考えられます。(下図 参考例 この局面で後手有利)

   (参考図 6筋突破される例)

上図のようにならないように早めの角交換をしておきたいところですが、本譜に戻ってまだお相手の角道は開かれていません。ですので、次の作戦に移る▲5六歩(本譜7図)。▲4六角と角のラインで相手飛車へのニラミを利かせる大事な手です。

               (本譜7図 33手目 ▲5六歩)

ここで△4六銀と先に銀が出てくればまた違った展開になっていたでしょうが、先に△3四歩とお相手はここで角道を開けてきました。それに角交換はこちらも望んでいるので、再度▲7七角と手を戻します。

積極的に角交換に持っていく

              (本譜8図 37手目▲6五歩)

お相手が△3二金に対して角交換を挑む▲6五歩。向かい飛車にとってここが角交換のしどころでここで後手が△7七角成としてくれば願ったり叶ったり。▲同桂に△2二角▲8九飛と進み、将来▲5七角と据えて8筋の飛車先の位を奪還する狙いが楽しみになってきます。

この角交換は▲7八金型(後手から見ると△3二金型)向かい飛車狙いの筋であり、覚えておいて損はないポイントです。他の振り飛車では角交換は不利になることが多いですが、この戦型の向かい飛車は積極的に大駒交換で捌きにいけるのが強み。「攻める振り飛車」と言われる戦法です。

             (本譜9図 38手目△6五同歩)

本譜は▲6五歩に対して△同歩と自分から角交換に挑むことはありませんでした。なのでここは機が熟したのでこちらから角交換に挑みます。本譜9図から▲2二角成△同金▲7七桂。攻めるときは大駒の捌きで手駒に持ち、大駒の利きで飛車先や相手陣をけん制して局面を優位に持っていくのが、向かい飛車の主な戦い方です。

             (本譜10図 指了図43手目▲8九飛まで)

玉の堅さと位置が勝敗を決める

             (本譜11図 45手目▲4六角まで)

本譜10図から△3三桂▲4六角と進んだ局面。お互いに飛車先を狙ってますが、玉の位置が後手側が近いことがこの後になって響いてきます。まだ形勢的にはまだ互角に近くそんなに差は開いてないですが、この後の局面をどちらが優位に持ってきてるのかがポイント。

かといって向かい飛車側としてここから勝ち切るには、まだまだ大変なところがあって油断はできません。

角のラインに誘導するタタキの歩

               (本譜12図 49手目▲8二歩まで)

本譜11図から△6六歩▲5八銀△4五桂▲8二歩。向かい飛車の攻めをいなして3筋や、あわよくば1一の香車を一つ上げて雀指しでこちらの玉頭狙いのお相手の試みが見受けられます。こちらは当初予定してた8筋突破を目指します。

お相手の△4五桂と飛車を3筋に回す準備の手に対して飛車先の鼻っ面を叩く▲8二歩。△同飛と取れば向かい飛車側の角のラインに入っているので▲6五桂と飛車を狙うことができます。以下△6五桂▲7三桂成▲同銀と進みますが、角のラインの睨みがあるので、向かい飛車満足な展開です。

疑問手を咎めるのも礼儀

             (本譜13図 50手目△3一飛まで)

後手はその意図を躱すのと、予定していた玉側の戦力増強に△3一飛と飛車を回しますが、向かい飛車側は8筋に飛車がいなくなった分、桂交換を挑むことが出来ました。その桂交換の実行に▲8五桂と跳ねます。

             (本譜14図 52手目△8三歩まで)

そこでお相手の手は△8三歩。この手はお相手を批判するわけではないですが、正直これは疑問手だと思います。たぶん何かの錯覚か将棋ウォーズによくある操作間違いかもしれないとも考えられます。

でもこれは勝負。間違いと言えども仮に操作間違いとしてそれを理由として甘く指すのは逆に相手に失礼だと思います。その失敗は後で振り返って修正の肥やしに棋力向上につなげるのが本当の優しさだと思います。

終盤の差は玉の位置と囲い

       (本譜15図 投了図 53手目▲7三桂成まで先手の勝ち)

なので、それを咎めに▲7三桂成と桂馬を成りこみここでお相手は投了しました。以下まだ相手玉に詰みはないですが、相手玉側の近くで戦場になっていること、次手▲8三飛成で横の攻めに弱い相手陣型ではジリ貧になることが見えてきます。

対して自玉側は美濃囲いの堅さで、陥落にはまだまだ時間がかかり詰みはありません。形勢が不利なことを見越して投了されたのだと思います。ここでは堅陣な美濃囲いの堅さが生きてます。「玉の守りは金銀3枚」の格言の通り、玉は戦場から遠く安全な場所に囲うセオリーの差で、終盤の玉の詰まし合いの時、特に差が出る一局だったと思います。

まとめ

終盤の終わり方はあっけなかったですが、お相手の形勢はまだまだ戦えていたと思います、投了図からは不利な展開ですが、そこから勝ち切るのが難しいのが将棋。棋力が上位の方ならまだまだ粘られて混戦模様になっていたかもしれません。

        ▲7八金(後手持ち△3二金)型向かい飛車の基本陣形

ここで▲7八金(後手側△3二金)型向かい飛車戦法の骨子を上げると

  • 飛車角交換は自分から積極的にガンガン行く
  • 角金銀桂の協力で居飛車側の飛車先の位を逆用することを常に考える
  • 玉は片美濃囲いでも十分な堅さなので玉は安全なところに囲う

これだけでも級位者相手に勝率を上げることは可能です。あとは向かい飛車戦法の局数を上げることですが、数をこなすことで経験値が上がっていくので勝敗に関わらず指していくことが大事だと思います。

数をこなしてこの戦法ではどうしても自分に向かないと思えば他の戦法に挑戦してもいいです。それが自分の向き不向きでそれが自分の棋風になりますので、ぜひともこれが得意戦法だと思える戦法に出会ってください。

そして自分の勝率が上がる得意戦法に出会ったら将棋に自信を持って指すことができますので、そうなってくれば私とすれば幸いです。

ここまで読んでくれてありがとうございました。

それでは、本日対戦したお相手にありがとうございましたと感謝の言葉を述べてこの自戦記を締めたいと思います。長文の中ここまで読んでくれてありがとうございました。また次回の投稿でお会いしましょう。

ありがとうございました。

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